目次
痛みと治療法
進行度合いによって、痛みの有無やどんな風に痛むのかが変わってきます。それに応じて治療法もまた異なってきますので、丁寧に段階を踏んで見ていきましょう。
1. 進行度別・痛みと治療法
このページで進行度に応じた痛みと治療方法について説明します。
1-1.【C0】エナメル質表面がわずかに脱灰している状態
痛みは無い
脱灰している部分を毎日欠かさず丁寧に歯磨きできていればこれ以上進行しません。
積極的な治療はせずに、経過観察を続けます。
これを放置するとさらに脱灰(菌が歯を溶かす事)が進行してC1の状態になる。
■進行度【C0】の治療法
積極的な治療はしません。
正しい歯磨き法を習得して頂き、毎日きちんと歯磨きして頂きます。
また、甘いものを頻繁に取らないように気を付けてください。
甘いものを食べたい場合は代用甘味料(キシリトールなど)の入ったものがお勧めです。
【C0ポイント】
C0の段階で食い止められるかどうかは、まず歯を増幅させてしまう生活、食事習慣を見直し、それをしっかり継続して続けられるかどうかにかかっています。
1-2.【C1】エナメル質内部まで溶けた状態
痛みは無い
菌と虫歯の酸がエナメル質内に限局しています。
表面に穴が空いている場合はレジン充填という治療をします。
痛みが無いからと言って放置するとあっという間に深く浸食されます。
まだ穴が空いていない状態であれば毎日の正しい歯磨きで進行を食い止める事が可能です。
痛みが無いとはいえ、いつ穴があいてもおかしくない要注意な状態です。
■進行度【C1】の治療法
一般的には白い樹脂の詰め物(レジン)で治療します。
(C1はごく軽度であればC0と同様に経過観察をすることもあります。)
【C1ポイント】
これはまだ小さな虫歯があり、その部分を削るだけで治療することができます。ただし穴が開いてしまえば、そこから一気に菌に深く侵入していきますから、油断せずに丁寧な歯磨きを心がけましょう。
1-3.【C2】象牙質に達した状態
冷たいもので痛みを感じる。
治療が必要な状態
穴の深さによっては熱いものでも痛みや違和感を感じるようになります。何等かの治療しないといけない状態です。
■進行度【C2】の治療法
象牙質まで達している状態です。
虫歯を取って白い樹脂(レジン)もしくは銀の詰め物(メタルインレー)やセラミックの詰め物(セラミックインレー)を詰めて治療します。
1回目はここまでです。
【C2ポイント】
ちょっと冷たいものが沁みた時点で治療を開始出来れば素晴らしいです。早いうちに治療すれば、それだけ早く改善するのです。ここで治療に向けて行動出来るかがカギとなります。
1-4.【C3】歯の神経(歯髄)まで達した状態
神経が生きているうちはずきずき強く痛む状態。ゆっくり虫歯が進行した場合などまれに痛みを感じないこともある。根の治療も必要な状態
強い痛みがあるのでほとんどの方は歯科医院に駆け込む様な状態です。痛みの原因である虫歯を取って、神経を抜きます。
神経を抜くと痛みが徐々に治まってきます。
神経の入っていた管をきれいに清掃して、防腐剤を詰めます。その後はクラウンという被せものをして治療終了です。
強い痛みがあっても
歯医者さんに行けなかった場合
歯の神経が知らぬ間に死んでしまいます。
歯の神経が死ぬと痛みは無くなりますが、治ったわけではありません。
神経の穴に細菌がどんどん入り込み根の深くまで達してしまいます。
根の先が膿んで、骨を溶かしてしまうことも多々あります。
この場合は根の治療(根を消毒して細菌を極力減らす治療)が必要となる。根の治療の後は土台を入れたりして歯をかぶせることが可能。
■進行度【C3】の治療法
神経まで達した状態です。
神経が生きている場合は神経を取って防腐剤を詰める治療をします。
神経が死んでしまっている場合は神経の入っている管をきれいに清掃、洗浄して防腐剤を詰めて治療します。
C3の場合はその大きさによって、レジンを詰めたり、インレー、クラウン(銀歯やセラミックの被せもの)で治療します。
(大きければ土台を入れたりする場合もあります。)
1回目はここまでです。
当院のセラミックは自然の歯と同じ色なので治療した箇所が目立ちません。
【C3ポイント】
治療回数は3~4回です。神経に到達し菌の侵入を拒む体の免疫の反応によって炎症が起きています。そのため歯の根の部分の治療となる「根管治療」が必要です。
痛みがあり、やっとここで多くの方が受診するようになりますが、放置したつもりはない方も中にはいます。放置したのではなく、ここまで気づけなかったという場合、
1本の歯だけに留まらず他の歯も危険に晒されている可能性が高いです。
1-5.【C4】歯が崩壊して、根だけの状態
痛みはもう感じません。ただ、体の免疫力が下がると急に腫れて著しい痛みが出ます。
根の先に出来ている病巣には細菌が巣くっている状態です。
体の免疫力が落ちると病巣が急性化して急激に腫れて強い痛みが出ます。
歯茎に溜まった膿を切開して取ったりといった外科的な処置が必要になる事もあります。
また、常に周りの骨を溶かしているので放置し続ければ根を支えている骨(歯槽骨)が無くなり自然に根が抜けてしまいます。
根の治療も必要な状態
ひどい場合は抜歯です。根が残せる場合は、根の治療をし、土台を入れて歯をかぶせる事が可能です。
■進行度【C4】の治療法
歯がほとんど崩壊した状態です。
ひどい場合は抜歯です。
根が残せれば、土台を入れてかぶせものをする事が可能です。
【C4ポイント】
抜歯か、または根を治療してから歯を被せるかの選択となり治療についても5~6回程度とC3に比べ、多少ですが増えてしまいます。
2. まとめ
このように段階を踏んで確実に歯を蝕んでいきます。特に「あったはずの痛みが消えた」ときには要注意。痛みさえ感じられないレベルにまで達してしまったと考えてください。またもちろん早期治療が一番ですが、酷い状態となってしまっても治療は十分に可能です。 厚生労働者が1987年から行っている歯科疾患実態調査の統計データでは、日本の虫歯人口の割合は緩やかな減少傾向にあるとされています。しかし年代的にみてみると2011年時点では、中高年の80%超が問題を抱えています。 非常に多くの人が苦しんでいるのが分かりますね。そしてそれを解決するために治療技術も日々進歩しているのです。治らない虫歯などありませんから、これからしっかりと治療に専念していきましょう。