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虫歯の原因とは

まず初めに皆さんは「どうして虫歯になってしまうのか」というメカニズムや原因についてご存知でしょうか?痛いものというイメージがありますが、そもそもなぜ痛むのか、どんな人がなりやすいかなど知っている人は少ないでしょう。このページでは治療に入る前の基本的知識として、その原因ついて分かりやすく説明していきます。

1. メカニズム

原因イメージ

主な原因は【ミュータンス菌】という名前の細菌です。(進行させる原因菌は【ラクトバチラス菌】という細菌です。)

ではその細菌がどうやって健康な歯を蝕んでいくのでしょうか?
このページではイラストと実際の写真で説明致します。

1. まず歯の表面に細菌がくっつきます。

歯の表面に最近がくっつきます

歯の表面は細菌レベルで見ると結構でこぼこしています。そのでこぼこに原因菌であるミュータンス菌が付着します。

歯の表面に原因菌が付着するとどんどん増殖していきます。(この細菌の塊は歯磨きなどの清掃を行うと除去することが出来ます)

矢印

2. 食べかす(歯垢)を足掛かりに

食べかすを足掛かりに増殖

増殖した原因菌は細菌の持つ酵素を使って、歯垢の中の糖分(ショ糖)を分解します。原因菌はショ糖を分解して不溶性グルカン(バイオフィルム)を作ります。

この不溶性グルカンはとてもネバネバしています。このネバネバを足掛かりにして菌がさらに付着し、増殖を開始します。

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3. そして、歯が溶けてゆく!

歯が溶けてゆく

ネバネバの上で増殖した菌は24時間くらいすると酸を発生させて歯のエナメル質を溶かし始めます。

これが虫歯の第一歩です。

矢印

深くする菌が登場!

深くする菌が登場

エナメル質が溶けていよいよ虫歯の状態になるとそこにラクトバチラス菌が住み着き、ミュータンス菌と一緒にさらにを深く進攻させていくのです。

酸素が無くても増殖できる細菌

【補足】
ラクトバチラス菌は酸素が無くても増殖できる細菌です。
深い虫歯の部分だけではなく、歯の入り組んだ溝や、銀歯などの詰め物と歯の隙間に巣喰って歯を溶かしていってしまいます。

細菌が巣喰う場所

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2. 三大要素

2-1.ミュータンス菌を増やしてしまう生活習慣

ミュータンス菌は普段から私たちの口の中にいる菌です。しかしこの菌を持っているだけでは問題ありません。虫歯になってしまう方は以下のようなNG行動を取っている可能性があります。

①甘いものが好き
②ジュースやスポーツドリンクを良く飲む
③間食が多い
④常に何かしら口に入っている

このように甘いものを頻繁に食べるなどの行動は、ミュータンス菌に、菌の増幅の餌となるショ糖(砂糖の主成分)を与え続けてしまいます。 間食で甘いものを食べる、糖分の多いジュースを飲むなど菌がショ糖に触れる機会が多ければそれだけ菌は増えていきますから、その都度歯磨きをしてもあまり意味がありません。人の口の中は脱灰(酸によっ て歯が溶ける状態)と唾液の働きによってその酸性が中和される再石灰化を繰り返しています。 だらだらと食べるくせがあるなど口に常に食べ物が入っていれば再石灰化が間に合わず歯が溶け、その結果虫歯になってしまうのです。

ステファンカーブ(飲食に伴うプラーク表面のpHの変化)

2-2.歯の質が柔らかい

生まれつき歯の質が柔らかく、溶けやすい人というのはいらっしゃいます。
また1万人に1人という割合ではありますが、エナメル質形成不全という歯を守る表面のエナメル質が上手く作られない先天性の病気もあります。

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2-3.唾液の質が悪い(唾液緩衝能が低い)

食事の後は糖を餌として菌が作った酸によって口の中は酸性に傾きます。
ただし唾液に含まれるカルシウムなどの無機物の働きによりこれを中性に回復していきます。(再石灰化) この唾液の働きが「唾液緩衝能」です。 ですが唾液中に含まれるカルシウムなどの量にも個人差はあり、量が少なければその分中性に戻す力も弱 く、虫歯になりやすいのです。 また唾液が粘々している人も、酸を洗い流す力が弱いため危険性が高くなります。

上記の3つが大きな要素ですが、一番は最初に挙げた菌の増幅を手助けしてしまう ようなNG行動です。いくら歯が強くても唾液の質が良くても、菌を増幅させる行動をしていれば防ぐ手立てはありません。

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3. 不十分な歯磨きも要因になる

3-1.正しい歯磨きの方法が身についていない

多くの方は子供のころに親に歯磨きの仕方を教わったり、幼稚園や小学校の歯科教室で教えてもらった経験があるはずです。 しかし大人になるにつれて、歯並びは変わるものですから、その時に学んだやり方をそのまま継続していても、きちんと磨けていません。 特に歯と歯の間、奥歯の溝などは歯ブラシが届きにくいため、自分の歯の大きさや形状を考え、意識しておかないと磨かれないまま残ってしまうのです。 磨き残しがないようにするためには、1本1本丁寧に磨いて行くことも必要ですから、その際時計回りに磨き進めていくなど、順番を決めて習慣化するなど早急に対策することが求められます。

3-2.就寝前の歯磨きを怠っている

寝る前の歯磨きは一日の歯磨きの中で最も重要です。
磨きもせずに寝てしまえば、口の中は細菌でいっぱい、かつ寝ている間は、唾液腺への刺激がないため唾液の分泌が少なくなります。 唾液には菌の繁殖抑える効果がありますが、就寝中は量が少ないためその効果を期待できません。 つまり「歯磨きをしておらず多くの菌がいる」「しかもその菌を抑える唾液も少ない」という二重に危険な状態であり必然的にリスクが高くなるのです。

3-3.口の中がすっきりしただけの歯磨きになっている

歯磨き粉には発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウム)が入っているものが多くあり、これをすぐに使うと口の中が泡でいっぱいになります。 すると泡だったことできちんと磨けているような気分になってしまい、結果十分にプラークを落とし切ら ないまま蓄積し、虫歯になってしまうのです。また歯磨き粉に含まれるフッ素は歯の表面をコーティングし、エナメル質を強化してくれる働きがありますが、口の中の泡をゆすぐために何度もうがいをしてしまうとこれも一緒に流れてしまうため、その効果も得にくくなります。

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4. まとめ

虫歯になるのには、必ず原因があります。
生まれついての菌や唾液の資質もありますが多くは日々の生活が招いた結果だと言えるでしょう。

ただし自分のどんな事が「ウィークポイント」であるのかは歯科医院での検査や診察ではっきりしてくるものです。そして出来てしまった場合は治療で改善するほかありません。 生活態度などは自力で改めることが出来ますが、その間にもこちらの意思とは関係なく進行していきます。 早くに治療を始めれば、早くに解決出来る。これが治療の鉄則です。

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