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下顎前突症の横顔の特徴

歯列不正にはさまざまな種類があります。
その中でも、受け口は、代表的な歯列不正のひとつとして、比較的高い頻度でみられます。
歯科医師は、受け口とはよばず、下顎前突症、反対咬合などとよんでいますが、その影響は、単に歯並びが悪いというだけにとどまりません。
お顔にも現れます。

実際、歯科医師はお顔を拝見するだけで、下顎前突症かどうかがわかります。
それは、下顎前突症の方は、特徴的な横顔になるからです。
下顎前突症の方のお顔には、どのような特徴が見られるのでしょうか。
今回は、下顎前突症のお顔、特に横顔の特徴についてご説明します。

お顔の分類

実は、ヒトのお顔は、正面からの顔つきと横からの顔つきの組み合わせで9タイプに分けられます。

横顔は3タイプ

ヒトの横顔は、
①ストレートタイプ(straight type)
②コンベックスタイプ(convex type)
③コンケイブタイプ(concave type)
の3タイプに分けられます。

ストレート・コンベックス・コンケイプ

ストレートタイプは、上から下までまっすぐな横顔です。
コンベックスタイプは、鼻の下あたりが前に出ていている横顔です。
コンケイブタイプは、下顎が突き出した横顔です。

お顔の正面は3タイプ

ヒトのお顔の正面は、
①面長形(ロングフェイスタイプ)
②標準形
③短頭形(ショートフェイスタイプ)
の3タイプに分けられます。

面長・標準・短頭形

面長形は、噛み合わせの力が弱く、噛み合わせが浅く、開咬や舌の癖などが見られます。
標準形は、噛み合わせの力も、噛み合わせの関係も普通です。
短頭形は、噛み合わせの力が強く、噛み合わせが深くなりがちです。

下顎前突の横顔の特徴

下顎前突症の顔つきについてご説明します。

横顔

面長・標準・短頭形

下顎前突症になると、下顎が前に突き出したような感じになります。
このため、下顎前突症の横顔はコンケイブタイプです。
コンケイブ(concave)とは凹みという意味です。

下顎前突症の方の横顔は、中央付近よりも、顔の下3分の1を占める下顎の方が出しています。
このため、お顔の中央付近が凹んだような感じになってしまうのです。
なお、コンケイブタイプの横顔は、三日月様顔貌という呼び方もされます。
横から見るとあたかも三日月のような感じに見えるからです。

正面から分類した下顎前突症の横顔の特徴

下顎前突症の方も面長形と標準形、短頭形の3タイプに分けられます。
正面から見た感じは、横顔にも強い影響を与えています。
面長形の方は、オトガイという下顎の先端部が前下方に向かって突き出すような感じです。

Eラインでの判定方法

このため、下顎下縁という下顎の下のラインは、前下方に急傾斜しています。
標準形の方は、オトガイが前に出ています。
短頭形の方は、オトガイの突出感が強く、下顎下縁はより水平に近づきます。

面長・標準・短頭形

下顎前突での横顔の評価方法

横顔の評価方法についてご紹介します。

Eライン(E-line)

不良習癖とは、歯並びを悪くさせてしまEラインは、Esthetic-Lineの略で、鼻の先端と顎先であるオトガイを結ぶ直線です。
この直線と唇がどのような位置関係にあるかで横顔を評価します。
横顔の代表的な評価方法のひとつとして広く利用されています。うさまざまな癖を意味する言葉です。

日本人の標準的な噛み合わせの方の場合、Eラインより上口唇がプラスマイナス1.0ミリ、下口唇がマイナス0.4〜マイナス0.6ミリくらいになります。

Eラインでの判定方法

下顎前突症の方の場合は、Eラインよりも唇がかなり後ろに位置しますので、Eラインに触れることはなく、後ろに離れます。

Sライン(S-line)

Sラインは、Steiner-line(スタイナーライン)の略で、鼻先と鼻の根本の中間点とオトガイを結ぶ直線です。
この直線と唇の位置関係から横顔を評価する方法です。
横顔の代表的な評価方法のひとつとして広く利用されています。

Sラインでの判定方法

下顎前突症の方の場合は、Eラインよりも唇がかなり後ろに位置しますので、Eラインに触れることはなく、後ろに離れます。

Eラインと同じく、下顎前突症の方はSラインで評価しても、上口唇、下口唇、いずれも届かず、後方に離れます。

Z-angle

Z-angleは、少し複雑な横顔の評価法になります。
まず、耳の穴と目の下を結ぶ直線を、そして、下唇とオトガイを結ぶ直線を設定します。
この2本の直線のなす角度が、Z-angleです。

Z-angleでの判定方法

日本人の標準的な噛み合わせの方では、この角度の平均値が約70度です。

下顎前突症の方では、この角度が平均値以上に大きくなります。

まとめ

今回は、受け口、すなわち下顎前突症、反対咬合の方のお顔の特徴について横顔を中心にお話ししました。
下顎前突症の方の横顔は、

①中央部より下顎が前に出るコンケイブタイプ
②面長形では、下顎下縁が急傾斜し、下顎が前下方に伸びている
③標準形では、オトガイが前に出ている
④短頭形では、オトガイが前に出ると同時に、下顎下縁がより水平に近づく

このような特徴を示します。
横顔の評価方はいろいろありますが、おすすめなのが手軽に評価できるEラインです。
横顔の写真を使えばすぐに評価できますし、横顔の写真がないという方は、定規を鼻先から顎先に当てて、唇が触れるかどうかで判断することもできます。
横顔が気になる方は、Eラインをぜひお試しください。